日々暮らすなかで、
「あれを書こう」「このことを記そう」と思う事柄が
ないわけではないのですが、雑事に追われて過ごすうちに
あれこれ考えていたことを失念してしまい何も残さないまま
時ばかりが過ぎ去るということが往々にしてあります。
ここ数ヶ月というもの、それが顕著になってきていたような気が……。
ま、それも更新を怠けていたことの言い訳に
受け取られてしまうかもしれませんが。
ははは。
さて。

先週末、田舎から、芋の子汁と栗ごはん、
それにミズのボンボンや
菊の花などを送ってもらいました。
里芋や栗はひとつひとつ向いて下ごしらえする必要があるし、
ミズのボンボンに至っては、山に採りにいったあと
細かなボンボンから土を丁寧に落とす作業が必要とのこと。
これは山から採ってきて綺麗にしてこちらへ
送ってくれるところまで父と母がまめに担当してくれるので
ありがたいなあと思っています。
ミズのボンボンは、山の珍味。うまし。
山に分け入って採ってくるのがまず一苦労!
……という話を両親からこんこんと聞かされていますが、
わたくし自身は一度も採りに行ったことがなく、食べる専門です。
うわ、みなさん、石を投げないで!
すみません、スミマセン。
菊の花は、ガクごと茎から切り落としてそのまま
揚げたり茹でる地域もあると聞きます。
(群馬がそうなんですって。)
が、わたくしの生まれ育った地域での食用菊の食べ方といえば
花びら一枚一枚を手で抜き取ったうえで茹でて食していました。
その経験から言えば、ガクごと茹でたり揚げたりするのは
下ごしらえに手間がかからない利点こそあれ、
ガクの苦味や舌触りが苦にならないのかと訝しく思ってしまいます。
(や、この苦味こそうまいのだと感じるむきには大変申し訳無い。
わたくしがこう感じるのは、幼いころからこの食べ方に慣れてきたためです。)
収穫した食用菊を大きく広げた新聞紙の上に並べ、そこで
花びらだけにしたものの山を作り、まとめてお湯で茹で上げる……。
花びらだけにする作業は難しくはないものの、根気を伴います。
幼かったあの日、父と母の手伝いをして菊の花をとる作業に
熱中したことを懐かしく思い出します。
食卓に食用菊がのぼるとき
紫と黄色、二色の食用菊が混じり合った色味は、まことに
うつくしいものです。
単色で酢の物にしていただいても勿論見目よいですよ。

栗ご飯は、栗がまるごと、ごろごろと沢山入っていました。
この栗がとれる木は、
たしか、僕が生まれたときに畑の隅に父が植えた栗の木なのだとか。
今年も父が苦心して渋皮まで剥いて下ごしらえをしたそうです。
(剥くのは根気がいるし、指と爪の間に渋皮が入り込んで
地味な作業の割に、イヤン度が高い作業なのよね……。
こどもの頃にお手伝いしたから知っています。
お父さん、ありがとう。)
売り物によくありがちな甘ったるい栗ご飯ではなく、栗の味が
そのまま味わえる出来でした。
ほっくりとした栗の味わいに秋を感じます。
今回実家から送ってもらったものの中でも
白眉はやはり芋の子汁ではないでしょうか。
これぞ郷土の味。
味付けはシンプルに醤油と日本酒のみ。
隠し味に「味道楽」を入れることもあるけれど、これは
我が家だけのオリジナルかしらん。
芋も牛肉も、舞茸も美味かった。
実に美味かった。
(もう一回くらい実家から送ってもらおう。
ウッシッシ。)
興味を持つ方がおられたのであれば、
レシピや材料は簡単に手に入る時代ですから、一度各家庭で
芋の子汁を試してみて欲しいなあ、と思いました。
そうそう、醤油ベースは山形県内陸部の味付け。
庄内地方の味噌ベースの芋の子汁も美味ですが、甲乙つけがたいですねえ。
ただ、美味しい牛肉が手に入るのなら醤油ベースで試してみてください。
豚肉の場合は、味噌ベースでよろしくメカドック。
ぴよぴよ。
あ、菊の花とミズのボンボン、
なめこと鷹の爪、それに「味道楽」(いわゆる万能めんつゆです。)で
作る一品は美味ですよ。これがまた日本酒に合います。
ごくり。

あ、すみません、この写真は菊の花ともやし、ミズのボンボンを
サラダにしてもらいました。
(なめこと鷹の爪は、無しね。)
これもまたうまし。