クリスマス当日の朝のことだ。
ぼくは発熱した。
「寒い」
つぶやくと同時にぱたりと床に倒れこんだあとは
暖かさを求めて、はじめは日の光が差す縁側へと
いざり寄り、次に、木の床に身を横たえた。
あわてて駆け寄る義母と妻。
床にそのまま寝てはよくないと体の下には座布団が
しかれ、いやそのままでは良くないと
次に布団で横になるように言われた。
この時点で朝の10時ごろだったように思う。
布団に行く前は一時持ち直しかけたように思われ、
実家から送られた滋賀県「たねや」の
最中を白湯とともに食すだけの余裕はあった。
あとから妻に聞いた話では、このときすでに顔色は
相当悪く、「最中を食べているけれど余裕あるのかな」と
危ぶんでいたらしい。
ううう、食い気につられて布団で横になるのを遅らせたのは
事実だから抗弁することはできない。くふうっ。
暖かくしてじっとしていなさいという妻のいうことを聞かず、
はじめ布団の中から、「ぼくは元気だぞ」とか
「肉汁したたるハンバーグを食べたい」だの、あれやこれや
元気に喚いていたものの、ぼくはいつの間にか
すやすやと眠ってしまっていたものらしい。
なんだ、これじゃまるで幼子じゃないか。
ときどき起きてはぐったりと寝、白湯や
薄めたスポーツドリンクなぞを飲ませてもらう。
そうこうするうちに、だんだん体温はあがり、
仕舞いには39度近くにまでなった。
ふだんの平熱が低めの僕にしてみれば39度という体温はかなりの高温。
クリスマスは足利市『ル・クール』の
「ノエル・デリ」(クリスマス限定)セットを
予約して受け取りに行く算段をしていたのに、この発熱のために断念。
代わりに義母にお願いして引き取りに行ってもらった。
申し訳なく思うが、腹の調子も大きく崩していたものだから
悪寒を感じ始めてから無理して足利市まで行こうとしなくて良かったと
あとになって思ったものだ。
寝汗をかいてはっと目覚める。
発熱した頭でぼんやりと「いまは昼だな」とはわかった。
『ル・クール』の「ノエル・デリ」セットに含まれていた野菜のポトフを
温めなおす香りに気づいた。
ちなみに今年の『ル・クール』の「ノエル・デリ」セットは
次の内容。
・ローストチキン ローズマリーの香り
・フライドポテト
・ベーコンとほうれん草のキッシュ
・車海老のソテー
・ローストビーフのバケッドサンド
・野菜のポトフ
・生ハムサラダとトマトドレッシング
そして
「大丈夫? 熱は? 汗はかいた?」
とぼくを案じて近づいてきた妻の口元から香る、ローストビーフのバゲットサンドの
旨そうな匂い。
発熱はして腹の調子が悪くても、なぜか食欲があったのだ、ぼくは。
ああ! 憧れのメニューであるローストビーフの
バケットサンドは、すべて妻の胃袋の中に……。
(あとから教えてもらったが、昼と夜で二食に分けて
なんとか完食したとのこと。)
これは保存が効かないものだから泣く泣く諦めつつ、
ぼくはまた発熱からくる眠りに落ちたのだった。
この熱で臥せっている間に体力が落ちては良くないということで
食欲があったのを幸い、おかゆを3度食べた。
1度目のおかゆには梅干し。
2度目は豆腐と鰹節。
そして3度目が溶き卵、それに豆腐がおまけとして入ったおかゆ。
熱が引いて起き上がれるようになった翌日の昼すぎに体重を量ったところ
いつもより1キロ以上落ちていたので愕然としたものだ。
おかゆをいただく合間に野菜のポトフも腹に入れていたのに。
そして体調不良も治って数日経過した昨夜、
冷凍してもらっていたローストチキンをようやくいただいた。
よい味付け。濃すぎず、ほどよくスパイシー。
できるなら来年はクリスマス当日にいただきたいものだ。
たねや最中
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ル・クール
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