2011年09月04日

尾崎一雄『暢気眼鏡』

2011_09_04_16_15_43.jpg


先日帰省したときに書架にあったのを見つけ、持ち帰って来ました。

平成6年の40刷。
新潮文庫の復刊第3回配本時のものを、復刊当時に購入していたもの。
たしか、当時住んでいた町屋駅の駅前書店で購入したような
気がします。
時が流れるのは早いもの。
17年前の昔のことになるのかと驚きます。

魔法も豪傑も出てこない、淡々とした私小説。
あの当時僕がよく読んでいた多くの本とは
異なる趣を持つ内容に心惹かれ、手にとったのでした。

はじめて尾崎一雄を読んだ17年前と今の僕では
作品から受け取るものや感じ方は変わっているかな、どうだろうかとの
思いもあっての再読。
当時は「ふうん。淡々とした内容だな」とだけしか感じることができず
一読してから本棚の奥に仕舞ってそれきりにしてしまっていました。
このたび再読して思ったのは、その日常を描いたなかには、
家族への情愛の細かさやなどが織り込まれており、
尾崎一雄作品は、実に味わい深い読み物なのだということ。
その点に僕はようやく気づくことができたように思います。

作品中、『華飾の日』が味わい深く感じられます。
それは『猫』、『暢気眼鏡』、『芳兵衛』と続く若いふたりの
間の事柄を順を追って読み進んだからこそ感じる味わいなのかもしれません。
おっと、『玄関風呂』の最後でとんだ勘違いの発言をする井伏鱒二の発言に
思わず苦笑したことを記しておきましょう。
うふふ。


その他の尾崎一雄作品も読んでみたいと思い、Amazon.co.jpで検索しようかと
考えましたが、いやいや、待てよ。
そういえば実家には父が若い頃に購入した筑摩書房『現代日本文学大系 全97巻』が
あるじゃないの。
たしか尾崎一雄作品も収められていた筈だから帰省の折に読めばよいですね。よしよし。

筑摩書房『現代日本文学大系 全97巻』は懇意にしていた書店のご主人から
父が勧められてすべて初版で購入したとのこと。
ありがたや、ありがたや。
(市の図書館でも同じものを購入していたけれど、それは第2刷。
実家にあるのは初版だよ、と父が自慢していました。ほほう。)



《250セット限定復刊》筑摩書房『現代日本文学大系 全97巻』
http://www.bk1.jp/books/contents/booklist/0907_chikuma_bungakutaikei
posted by よねっち at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読む。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/47731957

この記事へのトラックバック