エヴァンジェリン・ウォルトン(著)
田村美佐子(翻訳)

『スィールの娘』、読み始めるまでは時間が掛かったのですが、
いざ手に取って読み始めてからは、読み終えるまであっという間でした。
マビノギオン物語1で感じていた、手が届きそうでいて届かない、
もやもやとした、漠たる印象はそこには無く、
人物の造形や風景といったビジュアルのイメージが
眼裏にしっかりと描き出すことができたのが印象的な作品でした。
特に、アイルランドにおいて耐えるブランウェンの姿と
アイルランドから帰ってくるときのブランのあの姿が
強烈な「絵」として迫ってくるものがある、この『スィールの娘』。
遠い昔、このブランの姿はどこかで読んだことがあるような
気がしないでもない……。
どこかでマビノギに関する一節でも読んだことがあるのかしら、わたくし。
マビノギオン物語1を、いまひとつ踏み込んで読めなかったせいで
上記のような読後感を抱えてしまったのは、
本のせいではなくおそらく自分の読書への姿勢のせいなのだと
思います。その時の。
ご、ごめんなさい。
後々再読したら、きっと印象は変わるのではないかと思います……。
マビノギオン物語は、以下続刊。
これ以降も楽しみにしております。
翻訳の田村美佐子さんは、
(わたくしの中で)掛け値なしに賞賛したいファンタジーの中のひとつ、
『マットの魔法の腕輪 』(ニーナ・キリキ・ホフマン)を翻訳されてもいます。
更には、DWJの名作・デイルマーク王国史のうち二冊をも翻訳されているのよね。
田村さんもわたくし好みの翻訳をものされる方のおひとり。
(ああ、『マットの魔法の腕輪』は、ぜひ万人に手に取ってほしい。
一読して幸せな気持ちにひたって欲しい作品です。
どうしてこんな名作が世に広まらないのか……。)
『スィールの娘』
東京創元社の紹介ページ
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488579043
『スィールの娘』
Amazon.co.jpの紹介ページ
http://www.amazon.co.jp/dp/4488579043
マットの魔法の腕輪 東京創元社
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488594015
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